ヨガ インストラクターのブログ

『がん』ばらないための上手な呼吸


おさるりらっくす.jpgおととい連休最終日に庭仕事で熱中症になったというのにこの肌寒い朝。
カラダ、まいりますよね。

折しも先日激やせで心配された川島なおみさんの悲報。
エネルギッシュに笑顔一杯でテレビ画面をにぎわせてくれる北斗さんの闘病生活など、
みなさん元気そうな何気ない姿を、じつはすさまじい努力で支えておられたのだろうと想像します。


元気だった方、がんばることが得意で、がんばることしか知らない方には、
病気は晴天の霹靂でしょう。

でもそんなにがんばらないと、ほんとうにダメなんでしょうか?
がんばりすぎないことも、大切ではないでしょうか。

病気も手術も......とてもたいへんです。

私も10年前に良性の繊維腫が卵巣にでき、全摘しました。
経産婦であったので腹腔鏡手術で済むということでしたが、
手術の恐怖、摘出して精検してはじめてガンの疑いがネガティブであることを
証明できることへの不安。

病院の扉を出たところで夫に電話をかけながら
ふるえながら泣いたのを記憶しています。

夫自身もガンの研究者であったことから、
疑いがあるものは切るべしで、他の選択はありませんでした。
当時夫が東大医学部に在職していたので、
東大病院の婦人科へ入院しました。

4人部屋に入った私は、あらためてそこが『大学病院』であることを
再確認しました。全員の方が髪にバンダナを巻いておられる。
つまり放射線治療で頭髪がないのです。
同室の方は私よりはるかに若い方もおられました。


当時私の病状からいえば、夫の職場近くのH病院でも十分対応可能だったのですが
とにかく夫の職場から1分でも近いことがこどもが小さかったこともあり、
優先順位一番でした。

当時近所に住む認知症がはじまった両親をはじめ親戚の病人を看たり、
そのこどもたちの面倒もあり、仕事があり、自分にだって子どもがいて......、
私はただひたすら疲弊しきっていました。
おまけに夫も体調を崩し、私の入院の2ヶ月前には夫自身が胆のう摘出手術をしたばかりです。
私はお面をかぶらずとも、素顔で般若みたいな顔をしていたと思いますよ(苦笑)。

術後、誕生日を迎えた娘を病院のベッドで頭をなでながら、
パパもママも弱虫でごめんねーってすごく思いました。


当時かなりの無理とつらさをいつも息を詰めて我慢していたので、
いつもパンパンです。

でも弱音は吐けないのです。

本当にたいへんだと弱音を吐いたら最後くずれおちちゃうからです。

その後ヨーガを教えるようになり、口では『がんばらないんだよー』って生徒さんに言いながら
私自身はその真逆の生活をしていました。

身に合わない『がんばり』から少し抜け出せたのは、
その数年後に両親を施設に入れ、面倒をみていたこどもたちが成長し、
そして今度は自分が更年期で動けなくなってからです。

手術を受けたのは10年前ですからそのころ私はまだ40過ぎ。
術後間もないのに娘の個人面談で、
家から小学校まで壁を伝ってハアハアあえぎながらたどり着いたことを、
今思い出しました......。

若いなあ。そして大バカだなあ。

若くて本当にアホウだったなあって。はっきり言ってこんながんばり方、
無意味だし意味不明の自己満足だと今は思います。
『がんばらない』とは努力しないという意味ではありません。
今このときのじぶんの状態を察知し、適性に力をコントロールし、
見極めて行動するという意味なんです。

ところが私は息を詰めて我慢して、
『がんばる』やり方しか本当に知りませんでした。

まったくもって、これで呼吸の大切さを教えていたのだから......
恥ずかしいです。

でも息を詰めることが常態だっただったのですからこれもいた仕方ない。
呼吸が上手になってリラックスして楽になるには、多少の技術がいるからです。


人にはリラックスの仕方がいろいろあるんだろうと思われます。

ワイン愛好家である川島さんが、ご自身の病気をワインのせいにされ、
ワインを悪しげに言われるのをひどく気にしておられたと記事で読みました。

アルコール分解酵素がまるで持ち合わせない私は
アルコールによるリラックスをまるで知りません。
なのでFBなどでたまに楽しい酔いどれたちをみるとき、羨ましくもあるのです。

川島さんにとってワインは心を弛ませ潤し、勇気づけ励ます大切な大切な存在だったと
思います。ことによると、ワインの微妙な味わいの変化が、
彼女に病気のことを知らせていたかもしれません。

『がんばらない』技術を私は53年の人生でだいぶ痛い思いを
して学びました。私はこれを皆さんに『呼吸』という当たり前に
誰もがしていることで、ヨーガのテクニックを使って体感し、実感してもらえたらと思っています。


あたりまえにしている呼吸がみんなあまり上手ではないこと。

電磁波だらけの生活でしょっちゅう息を詰めて止めてしまっていること。

こんな簡単なふつうのことから、大切なことがわかる気がします。

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