漆喰壁とウッドフェンスに囲まれた我が家がなぜ、洋風な家にみえないのだろうか。
いうまでもない。
それは多分に我が家の象徴ともいえる梅の木ウメ子の存在のせいだろう。
ウメ子。推定年齢80歳。
元々去年まで私が住んでた昭和9年築の家とおよそ同年齢ときく。
いずれにしても第二次世界大戦の空襲と戦後の荒廃を生き抜いたであろう強者である。
元々双子の妹、ウメヨ(紅梅)とともに狭い庭の一角に生息していたが、
体の弱かった妹は今から30年ほど前に病におかされこの世を去っている。
その後ウメ子はひとりでこの地で命をひっそりとつないだ。
生まれつき足が悪くて直立できず、常にブロック塀に倒れがかりながら
日々を暮らす彼女は、年齢よりはるかに老けてみえた。
毎年毎年大丈夫なのだろうかと、もう今年が最後なのではと、
本家の家族(私とか元々この家の持ち主だった祖母とか)
を気を揉ませる存在であった。
そんなある年、ウメ子はかつてないほどその幹にたわわの梅の実を実らせた。
平成8年のことである。
ウメ子が渾身の力で生み落とした梅の実を拾った私は、
その半月後に3250グラムの女の子を産んだ。あとにも先にもこんなに梅の実がついたのははじめてであった。
つづく(ネタがあったらまた書くね)
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